裸足で歩くこつ

夫には裸足でうろうろする習性がある。
それは年中で、冬でも変わらない。



これまで何度か「寒くないのー?」と聞いてみたが、すると、なぜか少し自分が不憫だと言いたそうな雰囲気を醸し出しながら「寒い。」と答える。
勝手にスリッパを履かないだけなのだから、まったく可哀想な気持ちになる必要はないはずなのに、なぜかこちらが悪いことをしているような妙な気持ちにさせられるのである。

冬でも冷たいフローリングの上を裸足で歩くために、夫はあるコツを心得ている。
それは、足と床の接触面積をできるだけ少なくするために、足の外側を下に、土踏まずの方を上にして、足の裏を立てる技を使うことである。

ある寒い冬の日。
その日は東京ではめずらしく、雪が降るほど冷え込む日だった。
こたつから出てトイレに行きたいのに、スリッパが見当たらない。
あれー?さっきここで脱いだはずなのにー。……?

その時、私の横を何かが通りかかった。


あーー!!スリッパ履いてるー!!
私のスリッパ履いてるー!
(しかも、いつもお腹痛くてお腹に手あててるのに、あててないー!)
・・・。なぜ自分のスリッパを履かない・・・。

いいもん。

あっ・・・これ結構いけるやん。