うすだレディースクリニック(吉祥寺)での体外受精・顕微授精 体験談

2019年4月14日

私は吉祥寺のうすだレディースクリニックで体外受精・顕微授精を行いました。
一度採卵した後、受精卵を胚盤胞まで成長させてから凍結し、子宮の状態を整えてから移植する方法で行いました。(凍結胚盤胞移植)

体外受精・顕微授精とは

体外受精とは

体外受精とは、体外に取り出した卵子に精子をふりかけて数日間か培養し、できた受精卵を子宮内に移植することで妊娠を目指す治療のことです。

体外受精が適している場合

①子宮卵管造影検査などで、卵管に癒着や閉塞などの何らかの異常が確認され、通常妊娠が不可能な場合
②中度の精子無力症や乏精子症がある場合
③抗精子抗体が強陽性である場合。もしくは弱陽性でも人工受精で結果が伴わない場合
④原因は不明だが人工受精で妊娠できない場合
⑤高齢で早期妊娠を望む場合

顕微授精とは

顕微授精とは、体外に取り出した卵子に細いガラス管を刺し、そこから精子を注入することで受精させ、培養後、子宮内に移植することで妊娠を目指す治療のことです。

顕微授精が適している場合

①重症の乏精子症、精子無力症、精子奇形症などがある場合
②卵細胞膜貫通障害がある場合
③抗精子抗体が強陽性の場合
④体外受精でも妊娠に至らない場合

体外受精か顕微授精かの選択

私が治療を受けたうすだレディースクリニックでは、最初からどちらの治療を選択するか決定せず、状況に応じて病院側が有効と判断した方の治療を採用してもらうということができました。
色々と選択肢があり、複数卵子が採取できた場合、半分を体外受精、残りを顕微授精とすることもできます。
この場合、体外受精でトライしてみたが、受精に至らなかった場合に、途中から顕微授精に切り替えるレスキュー処理を行って頂くことも可能です。

体外受精及び顕微授精のスケジュール

うすだレディースクリニックでの体験談となります。
私の場合は次のようなスケジュールで治療を行いました。

見て頂くとわかるように、薬を飲んで、ホルモンを整える期間がありますので、治療はかなり長丁場となります。
採卵準備~妊娠判定までの間、通院は計11回です。

治療内容について

薬の服用について

飲み薬はプレマリン、プラノバール、クロミッドの3種類です。
プレマリンとプラノバールはホルモンを整える役割、クロミッドは卵胞の育成の役割があると聞きました。
ちなみに、プレマリンとプラノバールは8時間間隔で飲む時間が指定されますので、飲み忘れのないよう緊張して過ごすことになります。(例:7時、15時、23時の1日3回)
指定時間は8時間間隔さえ守れば多少前後することは可能なので、看護師に相談の上で自分のライフスタイルに合わせて決めることができます。

自己注射について

自己注射は、ゴナールエフのペンタイプとオビドレルのシリンジタイプの2種類です。
私は自己注射が初めてだったので、怖くて怖くて毎回注射し終わるまでにすごく時間がかかりました。
ただし、自己注射も時間が指定されており、10分も15分も遅れるわけにはいかないので、私は指定時間より早く刺し始めて、指定時間に薬を注入できるようスタンバイしていました。笑

ちなみに、どうしても自己注射が嫌だという方は通院して、病院で注射してもらうという選択肢もあるようです。ですが、注射の期間中はかなり頻繁に通院しなければならないことになります。

ゴナールエフ(ペンタイプ)

看護師さんによると、ペンタイプでない通常のシリンジタイプもあるようです。
お値段はシリンジタイプが安いが、素人はペンタイプの方が注射しやすいとのことです。
一般的にはペンタイプが案内されます。
まず最初の1本は、病院で看護師さんの説明を聞きながら自分で実施します。
ペンタイプは思ったよりも針が細いので、良い場所に刺さればほぼ痛みがありません。
ですが、場所によってはやっぱり痛いです。少しですが血も出ます。
説明によると、おへそ横のお腹の肉をつまんで刺す方法が一番痛くないそうです。

オビドレル(シリンジタイプ)

HCGの自己注射です。
シリンジタイプで、私たちがいつも病院で見る、いわゆる注射の形をしています。
針も、ペンタイプに比べると太く長いです…。
こちらは1度だけで済むのですが、自分であの針の長さをお腹に刺すのは本当に勇気がいります。
私は半泣きになりながら、針を押すことも引くこともできず、20~30分くらい膠着状態となりました。笑
看護師からの説明では、針が太いので血管に刺さってしまうこともあるようで、注射の中に血液が逆流してきた場合は、少しだけ引いてそこから針先の向きを変えて下さいとのこと。
無理ですよね・・・。運よく私は血液逆流は起こりませんでした。

自己注射 痛くない方法

実際に自己注射を体験してみて、自分なりに得た痛くないコツを記しておきます。
完全に私の自己流ですが…笑。少しでも皆さまの気が楽になればと思います。
初めての自己注射が怖くて色々と方法を試してみましたが、その中で少し効いたかなと思うものです。

①とにかくゆーっくりと針を進める!
最初の方は注射を刺す前準備に時間がかかってしまい、指定時間をオーバーしそうになり、焦って針を押してしまうことがありましたが、早く押し込むと痛いです😥
針を押し込む時に皮膚がひっぱられるような痛みを感じますし、刺されている痛みも感じます。
そこで、私はとにかくゆーっくり針を進めるために、指定時間のかなり早くから、針を刺し始めてじわじわ自分でも進んでいるのか戻ってきているのかわからないくらいのスピードで針を押し込んでいました。
そして、指定時刻になったら薬を注入するようにしていました。
オビドレル(シリンジタイプ)は、ゴナールエフ(ペンタイプ)よりも針がかなり長めなので、すごく時間がかかります。余裕を持って準備を始めて下さいね。

②針を刺す場所をよく揉んでおく!
マッサージでもそうですが、皮膚や皮下組織が固くなっているところは、強く押したり揉んだりするとすごく痛かったりしますよね。
注射も同じはずだと思い、針を刺すあたりの皮膚をとにかくよくよくマッサージしました。
皮膚がぽかぽかに温まってふにゃふにゃに柔らかくなったのを確認してから針を刺して下さい。

③保冷剤で針を刺す箇所を冷やして麻痺させる!
これは人によって好みが分かれると思うのですが、冷やすことで皮膚の感覚を麻痺させてから針を刺す方法です。
この方法のデメリットは、保冷剤で冷やす時にそれなりに痛いということです。笑
冷やされる痛みが苦手な人は、どうせ痛いなら針で痛い方を取るよという方もいることでしょう。笑
冷やされる痛みが平気な方はうまくいけば、麻酔効果で針の痛みは感じずに終えることができるかもしれません。

とにかく怖い自己注射ですが、色々な方法で痛みを軽減しながら、終わった後にはご褒美を用意して自分を思い切り甘やかしながら、出来るだけストレスなく乗り越えられると良いですね😃

座薬について

私は座薬も初めてで怖がっていたのですが、母によると実は赤ん坊の頃すでに何度も経験済みとのこと。
私のお尻は座薬に耐えられるんだというよくわからない勇気をもらって挑みました。
座薬は温度が高くなると溶けるので、保管は冷蔵庫で、薬を入れる時もあまり長い時間手に持っていると、体温が伝わり溶けてくるため注意が必要です。
座薬後、少しの間トイレには行けないのであらかじめ済ませてから行います。
私は薄いゴム手袋をつけて、行いました。
痛みは何もないのですが、入れる時はやっぱり少し気持ち悪いです。
一度入ってしまえば、あとは何ともありません。

採卵について

当日の流れ

うすだレディースクリニックの採卵は、基本的に全身麻酔で実施されます。
当日は採卵開始の1時間前には受付を済ませ、名前が呼ばれたら、手術室の隣にあるリラックスルームのようなところに案内されます。
そこで手術着に着替え、準備ができたらベッドに寝て待機します。
麻酔用の点滴針はベッドで取り付け、それをコロコロ移動しながら手術室に向かいます。
手術室では何人もの看護師、麻酔科医、採卵担当医がいらっしゃいます。
麻酔が入ってから「1,2,3…」と数字を数えますが、10も数えないうちに意識がなくなります。
意識を取り戻した時の記憶はあやふやなのですが、確か自分で手術室から隣の部屋のベッドまで歩いて戻ったと思います。
それから2~3時間ほど安静にしているのですが、動ける頃になると看護師さんから声がかかり、医師から採卵の結果と移植についての説明があります。
通常であれば、その後会計をして終了です。

私の場合、麻酔に弱い体質らしく、医師との話しの途中に気分が悪くなってしまい、結局午後診開始時間まで再度ベッドで休んでから帰ることになりました。
手術当日は、自宅での安静、お風呂はシャワーのみの指導がありました。
術後4日間は消炎鎮痛剤を内服しました。

採卵結果

採卵個数は9個でした。
看護師さんに尋ねたところ、33歳という年齢を考えると標準的な数とのことでした。

受精確認について

移植の2日後、受精確認のため病院に問い合わせの電話をします。(通院の必要はありません)
受精卵がいくつあったのか、それぞれの分割状況についてお話頂けます。

私の場合、次のような結果となりました。

採卵前に、体外受精と顕微授精を半分ずつにしてほしいと希望を伝えていたので、1度の採卵で両方実施されています。
採卵をしてすぐに精子のふりかけもしくは注入を行うものの、卵自体が未成熟の場合は受精には至りません。私の場合、約半分が未成熟卵だったことになります。
その後、順調に進めば受精・分割と進んでいきますが、体外受精のうち1つが受精に至りませんでした。
そのため、病院側の判断で急遽顕微授精に切り替えて(レスキューすると言う)、受精を実現してくれました。
結果として、9個採卵できたが、分割まで進んだ受精卵は4個だったということになります。

分割経過のトラブルについて

多核とは

受精卵が4個できたわけですが、その後分割が進む段階で全受精卵に「多核」という問題が起こりました。
多核とは、通常1細胞につき1個存在するはずの核が、2個以上存在する状態のことです。
細胞分裂する過程で染色体がうまく離れる事ができなかった場合に起こるとされています。

病院によっては、多核が起こった時点でその受精卵は破棄するところもあるようです。
おそらく、多核が起こった分割胚について、まだ医学的見解が確立されていないことが背景としてあるのではないかと思います。
幸い、うすだレディースクリニックでは、多核が見られたらすぐに破棄するのではなく、その後の分割状況を観察しましょうというスタンスのようで、様子を見ることとなりました。

多核胚のその後

移植から5日後、2日目で多核が見られた4個の分割胚のうち、2個が胚盤胞まで進むことができました。
うすだレディースクリニックでは、分割途中で多核が見られたとしても胚盤胞まで進み、多核が消滅した場合、移植することに支障はないと判断するようです。
そのため、2個の胚盤胞を凍結することとなりました。

胚凍結について

分割経過で多核になるというトラブルがあったものの、無事、2個の胚盤胞を凍結することができました。

胚盤胞とは

胚盤胞とは、受精卵が細胞分裂を繰り返し、最終的には1つ1つの細胞同士がくっつき、細胞の集まりになった状態をいいます。
胚盤胞まで成長した状態で子宮内に移植すると、着床率は格段に高くなると言われています。
但し、胚盤胞になるまでに成長が止まってしまう可能性があるというデメリットもあります。
培養環境下では胚盤胞まで成長できなかった分割胚も、本来の環境である子宮内であれば、胚盤胞まで成長できる可能性もあり、その場合、胚盤胞まで待たずに分割胚移植すれば良かったということになります。

胚盤胞のグレードについて

胚盤胞には、グレードが付けられます。
あくまで目安ですが、そのグレードごとに着床率や出産率などを病院ごとに分析しているようです。
ここで記載するのは、うすだレディースクリニックでのグレードの説明となります。

私の場合、3-4BBと4BBなので、どちらも中の中といったところです。

移植について

採卵後、薬を飲んでホルモンの状態を整え、子宮の状態を内診で確認してから、凍結胚盤胞を移植します。

移植する胚盤胞

凍結胚が複数ある場合、どの胚盤胞から移植するかは先生と相談しながら決めます。
私は2つ凍結胚があり、1つは体外受精、1つは顕微授精(体外受精からのレスキュー)だったので、出来るだけ自然に近い状態で受精した体外受精の方を選択しました。

移植当日の流れ

当日は移植予定時間よりも最低でも30分早く受付するよう指示されます。それより早く受付すれば、その分早く診て頂けるようです。
移植は麻酔もなく、採卵よりもずっと手軽な感じです。
採卵の時と同じ手術室で処置しますが、手術着には着替えませんので、スカートで行った方がスムーズに処置を受けることができます。
処置中は、お腹の上から子宮内の状態を確認しますので、尿をある程度溜めていった方が写りが良いようです。(処置開始2~3時間前からは我慢かな。)ただし、かなり強めに押さえつけられるので、トイレはうまく調整が必要です。笑                                                    
移植で唯一痛みがあるのは、処置前の消毒です。
私の場合は院長先生が担当して下さったのですが、わりと力強くグリグリと消毒されました😭
処置は短時間で終わり、その後会計をして終了です。

判定について

胚盤胞の場合、移植からちょうど2週間後が判定日になります。(分割胚移植の場合は日付がずれると思います。)

判定日までの過ごし方

きっと私だけではないと思うのですが、判定日までの2週間はとてもとても長いです。
本当はあまり気にかけず、いつも通り過ごせたら良いと思うのですが、長い時間かけて辛い思いもたくさんして挑んだ移植の結果が気にならないはずがありません。
なのでついつい、判定日までに自分でフライング検査をしてしまうので、だいたい結果がわかってしまうんですよね。笑
でも、前向きに考えれば当日の心構えができるというメリットもありますよね。

判定方法

病院での判定方法は意外や意外、普通の尿検査でした。
血液検査かと思っていたので拍子抜けでした。
そして私の結果は、わかっていたのですがやはり陰性でした。

判定日の流れ

当日は受付を済ませたらすぐに、採尿の案内をされます。
そこから結果が出るまでは待合室で待機です。
名前が呼ばれたら、医師から結果のお話があります。
私の場合、院長先生でした。
「いけると思ったんですが、残念な結果となりました。申し訳ございません。」と。
もう自分ではわかっていたので、前向きに次の話をすることができました。
その後、会計をして帰宅となりますが、院長の恩情のためかその日はお会計なしでした。

 

この後、私は2018年8月から新宿の加藤レディースクリニックへ転院することとなります。
転院の話、加藤レディースクリニックでの治療については次回以降、順次ご紹介していきたいと思います。

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